power/pointは、新しいグラフィックデザインビエンナーレのありようを構想するプロジェクト「Biennial No Plan(読み: ビエンナーレ ノープラン、略称: BNP)」を始動する。その第一弾企画となるのが、CALM & PUNK GALLERYにおいて2025年7月23日から8月3日まで開催される展覧会「Biennial No Plan」である。

会場には、ビエンナーレの広報物や什器、サイン計画、ノベルティ、リサーチ資料などが展示される。また、会期中には各方面の専門家を招いて勉強会を開催し、「本当に使えるか」「何が足りないか」といった観点から検討を行う予定だ。

とにかく、まずは実際に使用するものを構想し制作するところから始めてみようと思う。

「グラフィックデザイン・ビエンナーレ」という枠組みは、1960年代、東西冷戦による資本主義諸国/社会主義諸国の分断を背景としてチェコ・ブルノからはじまり、世界各地に広がっていった。こうしたビエンナーレの多くは、ポスターをはじめとするグラフィック作品の公募コンペティションを中心に構成されており、当時のデザイナーたちにとって国際的な発表・交流の場となっていた同時に、自発的に制作を行い、国際的な評価を目指して挑戦するための貴重な機会でもあった。

しかし現在、そのような情報発信/交換の舞台としての役割––もしくは「いま他の文化圏では何が流行っているのか」を知る機会––はSNSをはじめとしたインターネット上のプラットフォームに取って代わられてしまったように見える。デザイナーの自主制作にかんしても無数の機会があるし、「グラフィックデザイン」というもの自体も、いったい何を名指すのかわからないほどに変容し、細分化された状況にある。

実際、現在もいくつかのビエンナーレは開催が継続されているが、いずれも当時ほどのプレゼンスを保持しているとは言いがたい。象徴的なのは、先述したブルノ国際グラフィックデザイン・ビエンナーレの開催中止(2018年の第28回を最後に開催中止)だろう。

このような状況を前にして、グラフィックデザイン・ビエンナーレは過去の文化的装置であり、今となっては不要…と断ずることは容易だ。

しかし、かつてコミュニケーションの不自由を劇的に解消する理想的なツールとして現れたインターネットは、今、むしろよりいっそう深い断絶や不自由をもたらす主因となっている。そうしたとき、わざわざ実地を一定期間占有し、数多の国や地域からデザイナーを招聘して開催される「グラフィックデザイン・ビエンナーレ」という形式を、あらためて肯定的に捉え直すことは可能ではないだろうか?

形骸化したグラフィックデザイン・ビエンナーレ。BNPは、その修復を目的としたプロジェクトである。

もし、現在の東京において新たなグラフィックデザインビエンナーレを構想するとすれば、過去の形式をどのように換骨奪胎し、意義深いものにできるだろうか?単に議論を提起するにとどまらず、実際に制作を推し進めていく。

物事の本質がデザインのありようを決定するのではない。デザインされた事物によって、いつか、本質や現実が逆に変形・加工され、あるいは捏造されて「そのようなもの」として振る舞いはじめる。そのときのために、本展は企画される。

Biennial No Plan
名称:

Biennial No Plan(読み: ビエンナーレ ノープラン、略称: BNP)

参加:

power/point: 竹久直樹 | 中村陽道 | 八木幣二郎

キャラクターデザイン: 影山紗和子

什器制作: GYOSHA

展覧会制作協力: 星加曜 | 鈴木崇志 | 中山玲 | 我

日時:

2025年7月23日(水) - 8月3日(日)

13:00 - 19:00

開廊:

水曜日 ~ 土曜日(ただし8月3日(日)は開廊)

臨時休廊

7月25日(金)は臨時休廊となります。

イベント:

2025年8月1日(金) 17:00 - 18:30

公開勉強会「グラフィックデザイン・ビエンナーレのグラフィックデザイン」

詳細

プレスリリース:

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お問い合わせ:

CALM & PUNK GALLERY プレス担当 松本、谷村

mail: calmandpunk@gasbook.net

instagram

power/point

展覧会という形式からグラフィックデザインのありようを検討する集団。竹久直樹、中村陽道、八木幣二郎の三名によって構成される。

https://powerpoint.blog/

竹久直樹 | Naoki Takehisa

写真家。1995年生まれ、2019年よりセミトランスペアレント・デザイン所属。

イメージにおける主体のありように強い関心を寄せている。特にその制作プロセスである「撮影」に着目し、インスタレーションや映像などの表現方法を用いて制作と研究をおこなう。また、国内数多くの美術館やギャラリー、オルタナティブスペース等において展覧会の記録撮影を継続的に担っている。

主な展覧会に、個展「ホームスチール」(The 5th Floor、東京、2023)、「スーサイドシート」(デカメロン、東京、2022)、グループ展「逆襲」(SNOW Contemporary、東京、2023)、「惑星ザムザ」(製本所跡地、東京、2022)

展覧会企画に「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)、「ディスディスプレイ」(CALM & PUNK GALLERY、東京、2021)などがある。

中村陽道 | Harumichi Nakamura

グラフィックデザイナー。都立工芸高校、多摩美術大学大学院修了。

主な企画展に「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)など。

八木幣二郎 | Heijiro Yagi

グラフィックデザイナー。1999年、東京都生まれ。

グラフィックデザインを軸にデザインが本来持っていたはずのグラフィカルな要素を未来から発掘している。 ポスター、ビジュアルなどのグラフィックデザインをはじめ、CDやブックデザインなども手がけている。

主な展覧会に、個展「NOHIN: The Innovative Printing Company 新しい印刷技術で超色域社会を支えるノーヒンです」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー、東京、2024)、「誤植」(The 5th Floor、東京、2022)、「Dynamesh」(T-House New Balance、東京、2022)、グループ展「power/point」(アキバタマビ21、東京、2022)がある。

公開勉強会 | グラフィックデザイン・ビエンナーレのグラフィックデザイン

このたび、power/point「Biennial No Plan(BNP)」展の関連イベントとして、公開勉強会を開催します。p/p三名の他、ゲストにグラフィックデザイナーの岡﨑真理子さん、鈴木哲生さんの両名をお招きし、「グラフィックデザイン・ビエンナーレのグラフィックデザイン」をテーマに議論と検討を行う予定です。

岡﨑さんは、様々な文化領域に今もっとも深く関わっているグラフィックデザイナーの一人です。デザインが使役される現場への綿密なリサーチを元に構造的・理論的かつ明朗なデザインを数多く手がけ、近年では「第8回横浜トリエンナーレ | 野草:いま、ここで生きてる」や「EASTEAST_TOKYO 2023」「ATAMI ART GRANT」など、いずれも大規模でありながら運営組織のスケールがそれぞれ全く異なる芸術祭にも携わってきました。

鈴木さんは、レタリングをはじめとする文字デザインを基軸に、広報物、ブックデザイン、アイデンティティといったさまざまな分野に携わってこられたグラフィックデザイナーです。多様な意匠や様式、造形的な語彙を横断し、近代的なタイポグラフィのありようやデジタル以降のグラフィックデザインを相対化する、独自の実践を続けています。

今回の勉強会では、岡﨑さん鈴木さんの実務上の経験をご教示いただきつつ、お二人と一緒に「ビエンナーレを可能にするデザインのありかた」を考えていきたいと思っています。

この勉強会に参加する五名とも、グラフィックデザイン・ビエンナーレへの参加歴はありません。だからこそ、現在において可能な形式を、極めて現実的な形で思案できるのではないかと考えています。

本会合はBNPの会場であるCALM & PUNK GALLERYにて、入退場自由の形式で行われます。質疑応答も行いますので、質問や感想は専用のGoogleフォームまでお送りください。

詳細
日時:

2025年8月1日(金)

17:00 – 18:30

入退場自由・参加無料

発話者:

竹久直樹/中村陽道/八木幣二郎

ゲスト(敬称略):

岡﨑真理子(グラフィックデザイナー) | 鈴木哲生(グラフィックデザイナー)

質疑応答に関して
質問、意見、メッセージなど、以下のフォームよりお送りいただけると幸いです。 なお、当日の勉強会中も以下フォーム、および現地での質問をお受けする予定です。
ゲスト
岡﨑真理子 | Mariko Okazaki

1984年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学SFCで建築を学んだのち、アムステルダムの Gerrit Rietveld Academieでグラフィックデザインを学ぶ。帰国後neucitora、village®での実務経験を経て2018年よりフリー、 2022年REFLECTA, Inc. 設立。現代美術やパフォーミングアーツ、建築、ファッション等の文化領域に深くコミットし、コンセプトの視覚的翻訳を得意とする。 展覧会やイベントなどの総合的なグラフィックデザインを軸に、ブックデザイン、サイン計画、広告ビジュアル、ロゴ、ウェブデザイン等、多岐に渡る活動を意欲的に展開している。

reflecta.jp

鈴木哲生 | Tezzo Suzuki

1989年神奈川県生まれ。2013年東京芸術大学美術学部デザイン科卒業後、隈研吾建築都市設計事務所勤務を経て、’15年オランダ KABK デン・ハーグ王立美術アカデミー タイプメディア修士課程を修了。’24年より多摩美術大学グラフィックデザイン学科非常勤講師。

tezzosuzuki.com